刺繍を始めようと考えていると、始める前の準備はどのようにしていいのか気になりますよね。今回は「刺繍は初心者でもできるのか知りたい」というお悩みを解決していきます。
本記事では、
・刺繍道具について
・世界の刺繍について
・初心者でもできる刺繍ステッチ
を解説していきます。始める前に準備できることまで触れていますので、刺繍を始めようと考えている方はぜひ参考にしてください。
刺繍の歴史について
皆さんは刺繍と聞くと中世ヨーロッパ貴族の嗜みとして行われていた刺繍を思い浮かべるかと思います。実際私も刺繍と聞いたときは同じことを思いました。
刺繍の歴史について少しお話ししたいと思います。正確な発祥はわかっておりせんが、中国では約3000年以上もの前より記録が残っており、シルクロードの開拓が始まり少しずつヨーロッパなど各地へ広がったともされております。
世界には様々な刺繍がございますので、ご紹介していきます。
刺繍の必要な基本道具について
刺繍をするのに必要な道具は糸・針・枠・ハサミ・チャコペン・図案・布です。
ここでは、各道具の種類や特徴をご紹介します。
糸の種類
25番糸:細かなステッチに最適
25番糸は6本の糸が1束になっており、使用する本数のみ引き出して使用します。異なる色同士を組み合わせればオリジナルの刺繍糸を作り上げることができます。
12番糸:繊細なステッチができる
12番糸は5番糸よりも細く、25番糸よりも太い糸です。細かい部分やシャープな線を表現するのに適しており、糸を使い分けることによってクオリティの高い刺繍を楽しめます。
5番糸:太いステッチに最適
5番糸は太くてしっかりとしており、はっきりとしたより目が特徴的です。太さを活かすことでボリュームを出したりできます。
ウール:立体感のある作品に最適
ウールは太くてしっかりしていることが特徴的で、立体感のある仕上がりになります。ぽこぽことした表面感がかわいらしく、秋~冬の作品作りには最適です。
シルク:上品さが魅力
シルクは高級感のある光沢が特徴的で、上品で品のある作品に仕上がります。自然や背景などを表現するのにおすすめです。
リネン:ナチュラルな風合いに仕上がる
リネンは柔らかくて自然な風合いが特徴的で、ナチュラルな布地との相性が魅力です。
レーヨン:初心者でも扱いやすい
レーヨンは比較的安価のため初心者にも扱いやすいです。なぜなら発色もよくカラフルで 艶やなめらかさを兼ね備えていて、高級感が特徴的だからです。ワッペンや立体的な3D作品におすすめです。
花糸:つや消しのシャープなライン出したいとき
花糸はコットンでできた糸になります。マットな質感や落ち着いた印象の作品作りに適しており、素朴な印象が特徴的です。
針の種類
フランス刺繡針:糸の本数や布の厚さによって針を使い分けています。
針 | 刺繍糸【25番】 | 布の厚さ |
3・4番 | 5・6本 | 厚地 |
5・6番 | 3・4本 | 中位 |
7~10番 | 1・2本 | 薄地 |
クロスステッチ刺繍針:針の先が丸くなっているのが特徴的で、布はキャンバス地が敵しています。
枠
刺繍するときに布を枠にはめることによってハリを持たせることができ刺繍しやすくなります。枠を固定するスタンドなどがあるといいかもしれません。
ハサミ
ハサミは裁縫のときに使用する布切ハサミと糸切ハサミを使用しましょう。
刺繍の種類は?
多彩なヨーロッパ刺繡
色糸の組み合わせとステッチの使い方で、ラフなものから繊細なものまで美しい作品ができ、多彩な刺繍が特長です。
立体感のあるリボン刺繍
1517年にフランスのリヨンの南西、サンデチエンヌにその中を移し、イタリアのボローニアをはじめとする多くのリボン刺繍が広まりました。
かわいいビーズ刺繍
刺し方は一般的なヨーロッパ刺繍と同様で、ビーズやスパングルを使った見た目が豪華な刺繍が特徴的です。
貼り付けるアップリケ
アップリケとは「貼る・つける」という意味です。布の上に切り抜いた小さい布やフェルトなどを置いて刺繍やミシンなどで縫い付けます。
美しいスモック刺繍
布地にひだを寄せた折山に刺す刺繍です。北欧や東欧で民族衣装として現在でも生き続けています。現在でも、薄手の木綿からウールまで、無地・水玉・縞・格子などに用いられています。
繊細なスエーデン刺繍
布目を数えながら布をすくって刺す刺繍になっています。先の曲がったスエーデン針で、折り目の下をトンネルのようにすくっていき、階段のように布目を上がり下がりすることによってできる模様が特徴的です。
簡単にできるクロスステッチ
その名の通りマス目に沿ってクロス×するように刺していく刺繍になっています。初心者でもキットなど図案に沿って仕上げることができます。
伝統的な刺し子
刺し子の始まりは、重ね合わせた布に補強と保湿のために刺しぬいたものになります。
伝統的な模様も数多く受け継がれており、現在ではカラフルな色合いのものやデザインが多くあります。
優美なカットワーク
古くから協会の祭服や貴族の衣装に施されていました。16世紀ごろのものからイギリスの美術館などで展示されており見ることができます。
世界の刺繍について
産地によって異なる日本刺繍
日本刺繍は産地によって呼び名が異なり、京都「京繍」・江戸(東京)「江戸刺繡」・加賀(金沢)「加賀繍」と呼ばれています。その中でも「京繍」・「加賀繍」は経済産業省が認定する伝統工芸に指定されています。
現在では、着物や帯などに施されているもののほとんどが機械刺繍でできており、手作業でできている刺繍はとても貴重とされている。
日本最古の刺繍は、飛鳥時代に作られた奈良県の中宮寺に伝わる国宝の〈天寿国曼荼羅繡帳〉(てんじゅこくまんだらしゅうちょう)とされています。
色彩鮮やかな中国刺繍
中国では約3千年という歴史があり、蘇州「蘇繍」・広州「粤繍」・湖南「湘繍」・四川「蜀繍」は有名で『中国4大刺繍』と言われています。インドから中国のシルクロードを渡って伝わり、現在でも衣装やインテリア・舞台の装飾などに用いられています。
蘇州「蘇繍」
2600年以上の歴史があります。皇室の刺繍はほとんど蘇繍が用いられており、緻密な模倣と上品な柄で世界的にも有名です。
広州「粤繍」
「広繍」とも言われています。モチーフには花と鳥、例えば鳳凰、ボタン、松、鶴、サル、シカ、鶏、ガチョウなどがよく用いられており、色取りが鮮やかな所が特徴的です。
湖南「湘繍」
湖南省長沙市を中心に作られています。湖南省に古くからある刺繍をベースに蘇繍に粤繍の良い部分を取り入れた新しい刺繍ができました。中国画をモチーフに色彩豊かで色の濃淡がはっきりし、生き生きと描かれています。
四川「蜀繍」
サテンとカラーの絹糸を用い山や川、人物、花と鳥、虫と魚など、絵柄は生き生きとしており、色取りは鮮やかで、立体感があります。縫い目は細かく色々な変化に富み、この地方ならではの特徴です。
色鮮やかなハンガリー刺繍
ハンガリー刺繍は、「カロチャ」・「ベーケーシュ」・「マチョー」・「シャールケズ」・「カロタセグ」・「ヴァーシャールヘイ」と地域によって様々な刺繍があります。糸はハンガリー刺繍糸を使用します。
マチョー刺繍は、ダイナミックなデザインが印象的で、ユネスコ無形文化遺産にされるほど魅力ある民芸品です。
カロチャ
花などの植物を主要なモチーフとする色鮮やかな刺繍が特徴的です。世界に最も知られているもののひとつです。
ベーケーシュ
昔は毛皮に毛糸などで植物模様を刺繍していました。シックで落ち着いた色合いの刺繍が多いです。
マチョー
2012年にユネスコ無形文化遺産に登録されました。マチョー族の人々が200年もの間、継承してきた伝統的な刺繍です。布いっぱいに敷き詰めるように丹念に施されています。
シャールケズ
5つの村それぞれ独自のスタイルがあり、それらの組み合わせた衣装全体に調和性がみられ、主に女性の衣類に刺繍されている。
カロタセグ
独自の技法で、自由に「書く」ように刺繍することから、イーラーショシュ(書いたようなもの)と呼ばれ、単色で赤・青・黒・白の一色で刺繍します。
ヴァーシャールヘイ
大きな花やツタの模様を色の濃淡し、陰影をつける刺繍が特徴的です。
自由なスウェーデン刺繍
独特の色合いや美しさ、鮮やかな色彩が特徴的なスウェーデン刺繍の魅力です。特徴としては、自然をモチーフにしたデザインが多い傾向にあります。
自由な発想を活かす刺繍ともいわれており、絵画を描くようにデザインできるのも魅力です。
スウェーデン刺繍は、スウェーデン針を使って、布をすくい刺していきます。
美しいフランス刺繍
花柄や鳥の絵などヨーロッパ風のステッチを総称する言葉で、多数ある刺繍の種類の中でも基本とされています。日本で一般的に刺繍として浸透しているのがフランス刺繍になります。
ウクライナ刺繍
ウクライナ刺繍には色の決まりがあります。色彩には意味があり、赤「人生の喜び・情熱・愛」、黒「永遠・土」・青「健康」・黄色「若さ・幸福」になります。一番人気は赤と黒です。
特徴として刺繍生地の裏側も美しく、表と裏が写し鏡のように刺繍していきます。
他にも、両端の波打つようなギザギザ「ハーモニー」・その横を太く彩る芥子の実「魔除け」・四角が5つ並んだモチーフ「太陽」・5つの点と5本の線のモチーフ「月」・うずまきモチーフ「終わりのない形」・斜め線のモチーフ「運を切り開く」という風に模様によって意味があります。
伝統あるモンゴル刺繍
バヤンウルギー県に暮らすカザフ人による伝統的なカザフ刺繍です。刺繍のモチーフには、家族の幸せ、家畜に恵まれた豊かな暮らしなど、それぞれ意味があります。
刺繍の基本ステッチ9種類をご紹介
基本ステッチを知っていると、ハンカチに名前などをアレンジしながら刺繍でき、自分だけのオリジナル刺繍ができます。
クロスステッチ
斜め十字に左上から右下へ渡る糸が✖になるように刺していきます。
チェーンステッチ
チェーン(鎖)のような形に刺していきます。輪郭線や面を埋めるときに良く使われ、輪の大きさが揃うときれいです。
フレンチノットステッチ
糸の引き加減をきつくして小さくしたり、ゆるめに刺してボリューム感を持たせたり、糸に巻き付ける回数も変化させたりして刺すステッチです。花芯などに使われます。
ブランケットステッチ
ブランケットの周りにほどこさえたステッチで、縁がかりなどに使われます。アップリケをつけたりするときに使うステッチです。
ビーズステッチ
針と糸やテグスで編むビーズ編みになります。アクセサリーやキーホルダーなどかわいいものの作成が可能です。。
サテンステッチ
下糸を刺してから上にステッチを重ねていくので、立体感がでるステッチです。
間隔を詰めて糸を渡し面を埋めていきます。
コーチングステッチ
土台になる糸の上からストレートステッチやバックステッチなど適当なステッチでとめ付けていくステッチです。
レゼーデージーステッチ
花びらや小さな葉っぱなどかわいいステッチになります。花を表現するときによく使われています。
バックステッチ
針目同士に隙間のない、連続した線を刺していきます。はっきりとした輪郭を描きたいとき、線を強調したいときに向いています。
まとめ
いかがでしたか?
今回、刺繍について調べているとステッチや世界の刺繍についてお伝えしました。ステッチが22種類あるなんて驚きますよね。もし実際にできるか不安でしたら手芸店で初心者向けのキーホルダーなどの初心者でも簡単にできるキットがあるため、キットから挑戦をオススメします。
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